VPCとVPNの違いをわかりやすく解説|仕組み比較

VPCとVPNは、名前が似ているために同じもの、あるいは比較対象だと思われがちですが、実際には役割も位置づけもまったく異なります。この違いを曖昧にしたままクラウドを学ぶと、VPSやピアリングといった用語まで混ざり、理解が一気に難しくなります。本記事では、VPCとは何か、VPNは何をする仕組みなのかを前提から整理し、「何が違うのか」をわかりやすく解説します。クラウドやネットワークが初めての方でも、全体像をつかめる内容です。

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VPCとVPNは「役割」がまったく違う

VPCとVPNの違いが分からなくなる最大の原因は、この2つを「同じレイヤーの技術」だと思ってしまうことです。しかし実際には、VPCはネットワークそのものを作る概念であり、VPNは既存のネットワーク同士をつなぐための通信手段です。まずは、この役割の違いを明確にします。

VPCとは何か

VPC(Virtual Private Cloud)とは、クラウド上に作られる仮想的なプライベートネットワークです。AWSなどのクラウドサービスでは、このVPCの中にサーバーやサービスを配置し、IPアドレスや通信範囲を自由に設計します。

VPCは「インターネット上に作る自分専用のネットワーク空間」です。

物理的な社内ネットワークを、クラウド上に再現したものと考えると理解しやすくなります。

VPNとは何か

VPN(Virtual Private Network)は、離れた場所にあるネットワークや端末同士を、安全に接続するための仕組みです。インターネット上に暗号化された通信経路を作り、その中をデータが流れます。

VPNは「ネットワークを作るもの」ではなく「つなぐもの」です。

自宅から会社のネットワークに接続する、クラウド上のVPCに社内ネットワークを接続する、といった場面で使われます。

「違い」で比較すると混乱する理由

VPCとVPNを単純に比較すると混乱するのは、役割の階層が違うからです。VPCはネットワークの土台であり、VPNはその土台同士をつなぐための手段にすぎません。

項目VPCVPN
役割ネットワークを作るネットワークをつなぐ
存在場所クラウド上通信経路
関係性接続される側接続する側

「どちらが優れているか」ではなく「何を担っているか」を見ることで、VPCとVPNの違いは一気に整理できます。

次のセクションでは、VPCの仕組みをもう一段具体的に掘り下げ、クラウド上で何が起きているのかをわかりやすく解説します。

VPCの仕組みをわかりやすく理解する

VPCを理解するうえで重要なのは、「クラウド上にあるサーバーの話」ではなく、「ネットワークの話」だと認識することです。VPCはVPNの一種でも、セキュリティ機能でもありません。まずは、VPCが何を提供しているのかを構造から整理します。

クラウドVPCとは何を指すのか

クラウドVPCとは、インターネット上に作られる仮想的なネットワーク空間のことです。この空間の中では、IPアドレスの範囲、通信できる相手、外部との出入口などを自由に設計できます。

VPCは「クラウドに用意された自分専用のLAN」

物理オフィスにある社内ネットワークを、そのままクラウドに移したイメージを持つと理解しやすくなります。

AWS VPCとは何をしているのか

AWS VPCでは、仮想ネットワークの中にサーバーやサービスを配置し、それぞれにIPアドレスを割り当てます。さらに、通信を許可する範囲やルールを細かく制御できます。

要素役割
IPアドレス範囲ネットワークの住所を決める
ルーティング通信の行き先を制御
通信制御外部・内部の接続可否を管理

AWS VPCは「通信のルールを自分で決められる」点が本質です。

VPCネットワークの考え方

VPCは、外部から完全に切り離された閉じたネットワークとして使うことも、インターネットや社内ネットワークと接続して使うこともできます。どのようにつなぐかは、VPCの外側で決まります。

  • VPC単体:クラウド内だけで完結
  • VPC+インターネット:公開サービス
  • VPC+VPN:社内ネットワークと接続

VPCは「器」であり、接続方法は別に選ぶという考え方が重要です。

次のセクションでは、その「接続方法」として使われるVPNが、VPCとどのような関係にあるのかを整理します。

VPNの仕組みとVPCとの関係

VPCを理解したあとに次に混乱しやすいのが、「ではVPNはどこで登場するのか」という点です。結論から言うと、VPNはVPCの代わりではなく、VPCに“入るための通路”として使われます。ここでは、VPNの役割をVPCとの関係性の中で整理します。

VPNは「ネットワークを作らない」

VPNは、VPCのようにIPアドレス空間や通信ルールを持つネットワークそのものを作る技術ではありません。あくまで、既に存在するネットワーク同士を安全に接続するための仕組みです。

VPNは「場所」ではなく「経路」

そのため、VPN単体ではサーバーを配置したり、ネットワークを設計したりすることはできません。

VPCにVPNで接続するという考え方

クラウド環境では、VPCの中に作られたネットワークへ、社内ネットワークや自宅環境からVPNで接続する構成が一般的です。このとき、VPCは“接続される側”、VPNは“つなぐ手段”として機能します。

要素役割
VPCクラウド上のネットワーク空間
VPN外部からVPCに入るための経路
端末・社内LAN接続元ネットワーク

VPCとVPNは上下関係ではなく役割分担と考えると整理しやすくなります。

VPC内通信とVPN通信の違い

VPCの内部では、サーバー同士が直接通信できますが、これはVPNとは無関係です。VPNが関与するのは、VPCの外と中を結ぶ部分だけです。

  • VPC内通信:クラウド内部で完結
  • VPN通信:外部とVPCを接続
  • 役割が混ざることはない

「VPC=VPNで守られている」という誤解は不要です。

次のセクションでは、VPC・VPN・VPSがなぜ同時に語られ、混同されやすいのかを整理します。

VPC・VPN・VPSが混同される理由

VPCとVPNの違いを調べていると、必ずと言っていいほどVPSという言葉も一緒に出てきます。これらが同時に語られることで混乱が生まれますが、原因は「すべて仮想」「すべてクラウド」という表面的な共通点だけで捉えてしまう点にあります。ここでは、それぞれが何を指しているのかを切り分けます。

VPSとは何か

VPS(Virtual Private Server)は、物理サーバーを仮想的に分割して提供される「サーバーそのもの」です。OSをインストールし、アプリを動かす場所であり、ネットワークの概念とは別のレイヤーにあります。

VPSは「コンピューター」、VPCは「ネットワーク」

VPSはVPCの中に配置されることもありますが、役割が重なることはありません。

VPN・VPS・VPCが並んで語られる理由

これらの用語が同時に出てくる理由は、クラウド構成の説明で一緒に登場するからです。しかし、登場する文脈が同じでも、指している対象はまったく異なります。

用語指しているもの
VPCネットワークの器
VPNネットワークをつなぐ通路
VPS処理を行うサーバー

同じ文章に出てきても、比較対象ではない点が重要です。

それぞれの立ち位置を整理する

混乱を防ぐには、「何を作る技術なのか」で切り分けるのが最も分かりやすい方法です。

  • ネットワークを作る → VPC
  • ネットワークをつなぐ → VPN
  • 処理する場所を作る → VPS

名前が似ていても役割は重ならないと理解できれば、比較で迷うことはなくなります。

次のセクションでは、さらに混同されやすい「VPCピアリング」とVPN接続の違いを整理します。

VPCピアリングとVPN接続の違い

VPCとVPNの違いを理解したあと、次に混乱しやすいのが「VPCピアリングとVPN接続は何が違うのか」という点です。どちらもネットワーク同士をつなぐ仕組みですが、使われる前提や目的はまったく異なります。ここでは、役割の違いに絞って整理します。

VPCピアリングとは

VPCピアリングとは、クラウド上にある2つのVPC同士を直接接続する仕組みです。インターネットを経由せず、クラウド事業者の内部ネットワーク上で通信が行われます。

VPCピアリングは「クラウド内ネットワーク同士の直結」

そのため、接続元・接続先ともにVPCであることが前提になります。

VPN接続との役割の違い

VPN接続は、クラウドの外にあるネットワークや端末とVPCをつなぐための手段です。社内ネットワークや自宅環境など、VPC以外の場所から安全にアクセスする目的で使われます。

項目VPCピアリングVPN接続
接続対象VPC ↔ VPC外部ネットワーク ↔ VPC
通信経路クラウド内部インターネット経由
主な用途クラウド内連携外部からの接続

比較対象に見えても、使われる場面が違うことが分かります。

どちらを使うかではなく使い分け

VPCピアリングとVPN接続は、どちらが優れているかで選ぶものではありません。接続したい相手が「クラウド内」か「クラウド外」かで自然に決まります。

  • VPC同士を連携したい → VPCピアリング
  • 社内・自宅から接続したい → VPN
  • 役割が重なることはない

同じ「接続」でも、前提が違えば選択肢も変わるという理解が重要です。

次のセクションでは、図やたとえ話を使って、VPCとVPNの関係を直感的に理解できるよう整理します。

図解・たとえで理解するVPCとVPN

ここまで文章でVPCとVPNの違いを説明してきましたが、「頭では分かった気がするけど、まだモヤっとする」という人も多いはずです。そこでこのセクションでは、構造を“視覚的・感覚的”に整理できるよう、図解イメージやたとえ話で違いを固定します。

ネットワーク構造を図で考える

VPCとVPNは、存在する場所がそもそも違います。VPCはクラウド上に作られたネットワーク空間そのものであり、VPNはそこへ入るための経路です。

要素イメージ
VPCクラウド上にある敷地・建物
VPN外部から敷地に入る専用通路
VPS建物の中にある部屋・作業場

「中身」と「入口」を混同しないことが理解の近道です。

心電図的に考えるVPCとVPN

少し変わったたとえですが、VPCとVPNの関係は心電図に近い考え方ができます。VPCは心臓そのもの、VPNは心臓と外部をつなぐ血管のような存在です。

VPCがなければ通信は「存在」せず、VPNがなければ「届かない」

どちらか一方だけでは完結せず、役割が完全に分かれています。

どこが「器」でどこが「通路」か

最後にもう一度、役割だけで切り分けます。

  • 通信やIPを収容する「器」→ VPC
  • 外部と安全につなぐ「通路」→ VPN
  • 処理を行う「場所」→ VPS

この切り分けができれば、用語で迷うことはほぼなくなります

次のセクションでは、ここまでの内容をまとめ、「VPCとVPNの違い」で迷ったときの判断軸を整理します。

VPCとVPNの違いまとめ

VPCとVPNの違いは、機能や性能の差ではなく「役割の違い」です。ここまで理解できていれば、「どちらを選ぶべきか」で迷うことはなくなります。最後に、判断に迷ったときの軸を整理し、全体像を確実に定着させます。

VPC=ネットワーク、VPN=接続手段

まず押さえるべき結論はシンプルです。

  • VPC:クラウド上に作るネットワークの「器」
  • VPN:ネットワーク同士を安全につなぐ「通路」
  • VPS:その中で処理を行う「サーバー」

VPCとVPNは比較対象ではなく、役割が噛み合う存在です。

迷ったときの判断軸

用語で混乱したときは、「何を作りたいのか」「どこをつなぎたいのか」を考えると整理できます。

考えたいこと該当する技術
クラウド上にネットワークを作りたいVPC
外部から安全に接続したいVPN
クラウド内同士をつなぎたいVPCピアリング

「違いが分からない」と感じたら、役割の階層を疑うのがコツです。

次に読むべきページ案内

VPCとVPNの違いを理解できたら、関連するテーマもあわせて確認すると、ネットワーク全体の理解が一段深まります。

概念を正しく理解してから構成を考えることが、最も安全で遠回りしない方法です。

全体像をもう一度整理したい場合は、まとめページから確認してください。

▶︎ VPNとIP・ネットワークの関係をわかりやすく解説

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