VDI VPNとは、仮想デスクトップ(VDI)とVPNを組み合わせて、社外からでも安全に業務環境へアクセスするための構成です。リモートアクセスVPNだけでは端末側にデータが残る点が不安、という声から検討されることが多い一方で、「VDIは時代遅れ」「通信が重い」といったイメージで判断を迷うケースも少なくありません。本ページでは、VDIとVPNそれぞれの役割を整理し、なぜ併用されるのか、どんな前提で有効なのかを具体的に解説します。
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VDI VPNとは、「VDI(仮想デスクトップ)」と「VPN」を組み合わせて利用する構成を指します。重要なのは、VDI VPNという単一の製品や技術が存在するわけではない、という点です。あくまで、仮想デスクトップ環境へ安全に接続するためにVPNを併用する設計思想をまとめた呼び方になります。
VDI(仮想デスクトップ)とは何か
VDIとは、利用者のPC上で作業を行うのではなく、サーバーやクラウド上に用意された仮想デスクトップ環境で業務を行う仕組みです。画面操作だけが端末に送られ、データやアプリケーションは仮想環境側に残ります。
端末に業務データを残さないという点が、VDI最大の特徴です。
そのため、在宅勤務や外部委託など、端末の管理が難しい環境でも、情報漏洩リスクを抑えやすくなります。
VDIとVPNを併用する理由
VDIは「どこで作業するか」を仮想環境に集約する仕組みですが、そこへ接続する通信経路自体が安全でなければ意味がありません。そこで併用されるのがVPNです。
VPNはVDIへの入口を保護する役割を担います。
リモートアクセスVPNだけの場合、端末が社内ネットワークへ直接接続する構成になりますが、VDIを併用すると、端末は仮想デスクトップにのみ接続し、社内システムへ直接触れない構成を作れます。
仮想環境におけるVPNの役割
VDI環境におけるVPNの役割は、「通信を暗号化すること」だけではありません。どの端末が、どこまで仮想環境へ入れるのかを制御する入口として機能します。
VDIは安全、VPNは不要、という考え方は誤りです。
VDIとVPNはそれぞれ別の役割を持ち、併用することで初めて「端末にデータを残さず、安全に外部利用できる環境」が成立します。次のセクションでは、VDI VPNがどのようなセキュリティ価値を提供するのかを、もう一段具体的に整理します。
VDI VPNが評価される最大の理由は、「安全そうだから」ではなく、セキュリティ上の役割分担が明確だからです。端末・通信経路・業務環境を分離して考えられるため、リモートワークや外部委託が前提の環境でも、リスクを構造的に抑えやすくなります。
端末にデータを残さない仕組み
VDIでは、業務データやアプリケーションはすべて仮想デスクトップ側に集約されます。利用者の端末には画面情報と操作情報しか残らないため、端末の紛失や盗難が起きても、直接的な情報漏洩につながりにくい構造です。
「端末が危険になりやすい環境」ほど、VDIの価値は高くなる
これは、個人所有PCや外部委託先の端末を使わざるを得ないケースで特に有効です。
リモートアクセスVPN単体との違い
リモートアクセスVPNは、端末を社内ネットワークへ直接接続する仕組みです。そのため、端末側にマルウェア感染や設定不備があると、社内側へ影響が及ぶリスクがあります。
一方、VDI VPNでは、端末は仮想デスクトップにのみ接続し、社内システムへ直接触れません。
| 観点 | リモートアクセスVPN | VDI VPN |
|---|---|---|
| 接続先 | 社内ネットワーク | 仮想デスクトップ |
| 端末へのデータ残存 | あり得る | 原則なし |
| 端末リスクの影響 | 受けやすい | 限定的 |
「人と端末をどこまで信用できるか」が、両者を使い分ける判断軸になります。
情報漏洩対策として有効なケース
VDI VPNは、すべての環境に必要なわけではありませんが、次のようなケースでは強力な選択肢になります。
- 個人端末やBYODを業務利用せざるを得ない
- 外部委託・派遣スタッフが頻繁に出入りする
- 機密情報を扱い、端末管理を徹底できない
「端末管理で守る」から「構造で守る」へという発想の転換が、VDI VPNの本質です。
次のセクションでは、VDI VPNがどのような接続方法・通信経路で成り立っているのかを整理し、IPアドレスの扱いや接続の仕組みを具体的に解説します。
VDI VPNを理解するうえで多い混乱が、「どこからどこへ接続しているのか」「IPアドレスは誰のものなのか」という点です。ここを曖昧にしたまま設計すると、接続トラブルや想定外の制限に直面しやすくなります。まずは通信の流れをシンプルに整理します。
VDI環境への接続経路
VDI VPNでは、利用者の端末が直接社内ネットワークへ入ることはありません。基本的な流れは「端末 → VPN → VDI環境 → 業務システム」です。
端末はあくまで“画面操作の入口”に過ぎないという点が重要です。
この構成により、端末側の状態に左右されにくく、業務システムへの直接アクセスを遮断できます。通信経路が一本化されるため、セキュリティポリシーの適用やログ管理もしやすくなります。
IPアドレスはどこで使われるのか
VDI VPNにおけるIPアドレスは、「利用者の端末IP」ではなく「VDI環境やVPN出口のIP」が基準になります。
利用者ごとにIPが固定されるわけではない
業務システムや外部サービスから見ると、アクセス元はVDI環境またはVPNゲートウェイのIPです。そのため、端末が変わっても、接続元IPは一定に保たれます。これは、IP制限が必要な業務システムとの相性が良い理由の一つです。
| 観点 | リモートアクセスVPN | VDI VPN |
|---|---|---|
| 基準となるIP | 端末側IP | VDI/VPN出口IP |
| 端末変更の影響 | 受けやすい | 受けにくい |
| IP制限との相性 | △ | ◎ |
IPアドレス固定が必要になるケース
すべてのVDI VPN構成で固定IPが必須になるわけではありません。ただし、次のような要件がある場合、固定IP設計が前提になります。
- 外部クラウドサービスで接続元IP制限を行っている
- 取引先システムへの接続でIP申告が必要
- ログ監査で接続元を明確にしたい
「誰が使うか」ではなく「どこから出るか」でIPを考えることが、VDI VPN設計のポイントです。
ここまで理解できれば、「接続できない」「IPが合わない」といったトラブルの多くは事前に回避できます。次のセクションでは、VDI VPNと他の仕組みとの違いを整理し、混同されやすい概念を切り分けます。
VDI VPNを検討していると、「シンクライアントと何が違うのか」「Splashtopのようなリモート操作ツールで代替できないのか」という疑問が必ず出てきます。ここでは機能比較ではなく、設計思想と守れる範囲の違いに注目して整理します。
VDIとシンクライアントの違い
シンクライアントは、端末側に処理能力やデータを持たせず、中央のシステムに依存する構成です。一方、VDIは仮想デスクトップという「作業環境そのもの」をサーバー側に用意します。
VDIは「環境を仮想化」、シンクライアントは「端末を簡素化」
そのため、VDIは柔軟な環境構築や利用者ごとのデスクトップ分離が可能ですが、シンクライアントは用途が限定される代わりに構成が単純です。
リモート操作ツールとの違い
Splashtopなどのリモート操作ツールは、「既存のPCを遠隔操作する」仕組みです。あくまで操作対象は物理PCであり、業務環境自体は端末側に存在します。
操作を飛ばしているだけで、環境は移動していない
そのため、端末にデータが残る点や、端末管理の難しさは解消されません。VDI VPNは、業務環境を仮想側に集約し、端末を入口に限定する点が大きく異なります。
| 観点 | VDI VPN | リモート操作ツール |
|---|---|---|
| 業務環境の場所 | 仮想環境 | 物理PC |
| 端末へのデータ残存 | 原則なし | あり |
| セキュリティ設計 | 構造で制御 | 端末依存 |
VDI VPNが向いている利用シーン
VDI VPNは万能ではありませんが、次のような条件では代替手段よりも明確な優位性があります。
- 端末管理を徹底できない利用者が多い
- 業務データを端末に残したくない
- 接続元IPや通信経路を一元管理したい
利便性ではなく「どこまで守りたいか」で選ぶことが、VDI VPNと他手段を正しく使い分ける判断軸です。
次のセクションでは、「VDI VPNは時代遅れ」「ネットワーク負荷が高い」といった否定的な評価がなぜ生まれるのか、その背景と実態を整理します。
VDI VPNについて調べると、「時代遅れ」「通信が重い」「今さら使うものではない」といった否定的な意見を目にすることがあります。結論から言えば、VDI VPNそのものが時代遅れなのではなく、前提条件を無視した使い方が問題になるケースが多い、というのが実態です。
「VDIは時代遅れ」と言われる理由
VDIが時代遅れと感じられる背景には、導入当時の構成や運用イメージがそのまま語られている点があります。オンプレミス中心で、限られた回線帯域に多数の利用者を詰め込むような構成では、確かにパフォーマンス問題が起きやすくなります。
古い前提のまま評価されていることが多い点が、誤解の原因です。
近年はクラウドVDIや回線品質の向上により、当時と同じ条件で比較すること自体が適切でなくなっています。
ネットワーク負荷が高くなる原因
VDI VPNで「重い」と感じる場合、その原因はVDIかVPNのどちらか単体ではなく、構成全体にあります。特に影響が出やすいのは、通信経路が不必要に長いケースです。
端末 → VPN → 社内 → VDI → 業務システム
このように経路が複雑になると、遅延や帯域不足が体感しやすくなります。また、画面転送方式や同時接続数も、負荷に直結します。
| 要因 | 負荷が高くなる理由 |
|---|---|
| 通信経路 | 多段構成で遅延が蓄積 |
| 同時接続数 | 想定以上の集中利用 |
| 設計前提 | 回線・VDIリソース不足 |
構成次第で評価が逆転するポイント
VDI VPNは、すべての業務に向いているわけではありません。しかし、端末管理が難しい環境や、情報漏洩リスクを構造的に抑えたいケースでは、今でも有効な選択肢です。
「便利さ」を優先する構成では不向きですが、「守り」を重視する構成では強みが発揮されます。
「時代遅れかどうか」ではなく、「どんな前提で使うのか」を整理することで、VDI VPNは今でも十分に現役の選択肢になります。次のセクションでは、実際によく採用される構成パターンを見ながら、VDI VPNの使いどころをさらに具体化します。
VDI VPNは単一の決まった形があるわけではなく、業務システムの配置や利用者の働き方によって構成が変わります。ここでは、現場で採用されることが多い代表的なパターンを取り上げ、「どんな前提で選ばれているのか」を整理します。
VDI+VPNの基本構成
最も基本的な構成は、利用者の端末がVPNを通じてVDI環境に接続し、その中で業務を行う形です。端末はあくまで入口に過ぎず、業務処理やデータはすべて仮想環境側に集約されます。
端末を信用しない前提で設計できるのが、この構成の最大の特徴です。
このパターンは、外部委託や派遣スタッフなど、端末管理が難しい利用者が多い環境で採用されやすくなります。
クラウドVDIとVPNを組み合わせる構成
近年増えているのが、VDI環境自体をクラウド上に構築し、VPNで安全に接続する構成です。オンプレミスのVDIと比べて、リソースの増減や拠点追加に柔軟に対応しやすくなります。
業務環境の中心をクラウドに置くという前提に合った構成です。
ただし、通信経路が長くなりすぎないよう、VPNの終端位置や回線品質を意識した設計が必要になります。
リモートアクセスVPNと役割分担する構成
すべての利用者をVDIに集約するのではなく、一般業務はリモートアクセスVPN、機密業務のみVDI VPNを使うといった役割分担の構成も多く見られます。
「全員VDI」にしない判断が、運用負荷を下げるポイントになります。
| 構成パターン | 向いている前提 | 特徴 |
|---|---|---|
| VDI+VPN基本構成 | 端末管理が難しい | 高い情報保護 |
| クラウドVDI併用 | 拡張性重視 | 柔軟な運用 |
| 役割分担構成 | 業務が多様 | コスト最適化 |
このように、VDI VPNは「どれか一つに決める」ものではなく、業務内容やリスクレベルに応じて組み合わせることで効果を発揮します。次のセクションでは、導入前に必ず確認しておきたいチェックポイントを整理します。
VDI VPNは、導入すれば自動的に安全になる仕組みではありません。前提条件を整理せずに導入すると、コストや運用負荷だけが増えるケースもあります。ここでは、VDI VPNを選ぶべきかどうかを判断するためのチェックポイントを整理します。
守りたいものは「端末」か「データ」か
まず考えるべきは、何を守りたいのかです。端末管理を徹底できる環境であれば、必ずしもVDIが必要とは限りません。一方、端末を完全に信用できない場合、データを仮想環境に閉じ込めるVDI VPNの価値は高くなります。
端末を管理できないなら、構造で守る
- 個人端末やBYODを業務で使っている
- 外部委託・派遣スタッフが多い
- 端末紛失・盗難リスクを避けたい
全員にVDIが必要かを見極める
VDI VPNは高い安全性を確保できますが、全利用者に適用する必要はありません。業務内容によっては、リモートアクセスVPNだけで十分なケースもあります。
「全員VDI」にしない判断が重要
- 機密情報を扱う業務はVDI VPN
- 一般業務はリモートアクセスVPN
- 業務ごとにセキュリティレベルを分ける
ネットワーク前提とコストを把握しているか
VDI VPNはネットワーク品質に大きく影響されます。回線帯域や遅延を考慮せずに導入すると、「重い」「使いづらい」という評価につながりやすくなります。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 通信環境 | 帯域・遅延は十分か |
| 同時接続数 | ピーク時を想定しているか |
| 運用コスト | 管理・サポート体制を含めているか |
「安全だから導入する」ではなく「前提に合うから選ぶ」という視点が、VDI VPNを失敗させない最大のポイントです。
ここまで整理できていれば、VDI VPNが本当に必要なのか、他のVPN利用形態とどう使い分けるべきかを冷静に判断できます。
VDI VPNは、仮想デスクトップとVPNを組み合わせることで、端末に業務データを残さず、安全に外部から業務環境へアクセスするための構成です。VDI自体が特別なVPNというわけではなく、あくまで「仮想環境で作業する」という前提をVPNで支える設計思想だと理解することが重要です。
「VDIは時代遅れ」「通信が重い」といった評価は、古い前提や構成のまま使われたケースが多く、用途や設計が合っていないことが原因になる場合がほとんどです。端末管理が難しい環境や、情報漏洩リスクを構造的に抑えたい業務では、今でも有効な選択肢になります。
一方で、すべての利用者にVDI VPNを適用する必要はありません。リモートアクセスVPNやクラウドVPNと役割を分け、業務内容やリスクレベルに応じて使い分けることで、無理のないネットワーク構成になります。
VDI VPNを含めたVPNの利用形態全体を整理したい方は、以下の親ページを参考にしてください。
▶︎ VPNの利用形態と接続モデルを一覧で整理した親ページはこちら
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